書評 妻のトリセツ 黒川伊保子

2025年06月15日

妻のトリセツ 黒川伊保子

 

講談社新書

2018年10月18日初版

 

 

【一言でいうとどんな本か?】

「なぜ妻は突然不機嫌になるのか?」「なぜ良かれと思ったアドバイスが火に油を注ぐのか?」という、多くの夫が抱える永遠の謎を、**人工知能研究と脳科学の見地から論理的に解き明かした夫婦円満のための取扱説明書(トリセツ)**です。

 

1. 最大の気づき:「問題解決」の男性脳と「共感」の女性脳

本書の最も重要なポイントは、男女の脳の働きの違いを明確に言語化している点です。

夫(男性脳): トラブルが起きると、瞬時に「原因究明」と「問題解決」に向かう。

妻(女性脳): トラブルが起きると、まずはその時の辛い感情への「共感」を求める。

妻が愚痴を言った時、夫が「それは〇〇すればいいじゃないか」と正論でアドバイスをしてしまうと、妻は「私の気持ちをわかってくれない」と絶望し、怒りに変わります。夫に必要なのは解決策の提示ではなく、「それは大変だったね」「わかるよ」という徹底した共感であると著者は説いています。

 

2. なぜ妻は「昔の失敗」を蒸し返すのか?

夫婦喧嘩の際、妻が「あの時もそうだった!」と過去の出来事を次々と持ち出してくる現象にも、科学的な理由があります。 女性脳は、危険から身を守るために「ネガティブな感情を伴う記憶」を強く脳に刻み込み、類似の感情が起きた瞬間に過去の記憶を芋づる式に引き出す構造になっているそうです。これは決して夫をいじめたいわけではなく、女性の脳の防衛本能によるものだと解説されています。

 

3. すぐに使える実践的な対策

本書が優れているのは、理論だけでなく「では、どう言葉をかければいいのか」という具体的なアクションが豊富な点です。

妻の言葉には、まずは「そうなんだね」と肯定で返す。

「心ここにあらず」の生返事は、女性脳に見透かされるため絶対に避ける。

記念日や日常のちょっとした変化(髪型など)に気づき、言葉にして伝える。

 

【総評・おすすめしたい人】

女性の感情的な反応を「理不尽だ」と切り捨てるのではなく、一つの「システム」として論理的に理解できるため、特に男性にとって非常に腹落ちしやすい一冊です。

長年連れ添って「最近、妻との会話が減ったな」と感じている方や、どうも上手くコミュニケーションが取れないと悩んでいる方に、具体的な解決の糸口を与えてくれます。また、女性が読んでも「自分の怒りの理由が言語化されてスッキリする」という発見がある本です。

 

著者 請川隆一